振袖制作 引染
振袖の着物制作
「オーダーメイド着物寺井商店」さんからのご依頼です。
本来、請負の仕事は表に出すことはあまりないのですが、今回は許可をいただいたので投稿しています。
今回は、「伏せ」(糊や蝋で柄を防染する。)の作業を終えて引染の行程です。
ホーローに足りる分だけの色をつくります。
途中で足らなくなったら大変なので、少し多めにつくります。
染料は「蒸し」で定着するのですが、同時に発色もします。染料によっては「蒸し」で色目ががらっと変わるものもあります。
染料は粉を水にとかして使うのですが、色が濃くなると粉の量も多くなるので、それだけ蒸しで発色(変化)する率が高くなります。
ホーローやお皿に濃度の濃いものをあらかじめ作っておいて、それらを使って色を合わせていきます。(調合します。)
今回は、見本の色を出されているので、試験布に、合わせた色を塗り、乾かして色の判断をするという一連の作業を繰り返します。
いいところまで色が合わさったと思ったら、その色のついている生地を少し裁断して「試験蒸し」をします。(試験布の画像)
これでこの色が「蒸し」でどれだけ発色するかを判断します。
今回は黄みに発色したので、見本の色に近づくように青みの赤や紫などを加えて調整を繰り返しました。
調整を繰り返して色が完成したら、実際の生地に色を小さく塗ってみて浸透具合や試験布と同じ色目、濃度なのかを判断します。それで良ければ刷毛を使って地色を染めていきます。
今回は、絞り染めと友禅を合わせた柄なので、先に絞り染めを済ませています。
手描友禅は江戸時代(約18世紀)より受け継いできた、輪郭に糊を置いて、柄を絵画を描くように筆で彩色する染色技法です。
京都では分業が多いのですが、私はデザインから地染めまで全ての行程をひとりで行います。完成までに多数の人を介すことがないので、細かな対応ができます。
着物、帯の他、ストールやファブリックパネルなどもオーダー承っています。オリジナルなものを作りたい方は個人、業者を問わず、お気軽にご連絡ください。
試験布に小さく合わせて色を塗って色目や濃度を確認します。
蒸しで色目が変わります。蒸しがかかったものは黄味に発色しています。
色が完成したら刷毛で地染めをします。