手描友禅とは 

元禄時代、扇絵師の宮崎友禅斎の絵付けした扇が流行し、その画風を着物の衣装に取り入れたものや、染料や染色技術の進歩によって新しくできた技法や新しいデザインの染め物に当時評判だった友禅斎の名にちなんだものとされています。

完成までに多くの工程がありますが、生地へ染色する大まかな工程は、下絵、糸目糊置き、色挿し、伏せ、引染、仕上げとなります。

手描友禅の大きな特徴は糸目糊置きと色挿しで、糸目糊とは下絵を描いた輪郭線上に、もち米を主としたものや、ゴムでできた糊を置いていくことで、糸目糊が川でいう堤防の役割をしてとなりあう色がにじみあわなくなり、筆や刷毛を使って彩色する、色挿しをすることで絵画的な表現ができるようになりました。

それらを可能にしたものに引染ができるようになったことも大きく関わってきます。

それまでの主な染色は浸染(しんせん)で、生地を染料にドボンと浸けて染めていたので、柄の表現としては、絞り染め、刺繍などでした。

糊を使って防染する技術とともに刷毛を使って染める引染ができるようになったことで、柄や地色に多彩な表現ができるようになり、世界でも希な絵画を描くような染色が可能になりました。

以前は糸目糊を宮崎友禅斎が考案したとされていましたが、現在では、それまでに存在していた糸目糊や、引染など、それぞれの技術を集約させ完成させたのが宮崎友禅斎とされています。

定かな文献などが存在していないため諸説あり、歴史の教科書のように今後更新されていくかもしれません。

 
 
・図案
 
小下絵(縮小した紙にデザインする)を描く
 
 
 
 
・草稿
 
小下絵で描いたデザインを原寸大に拡大する
 
 
 
 
・下絵
 
青花(露草を絞った汁、水で濡らすと消える)で生地に草稿の絵を写していく
 
 
 
 
・糸目糊置き
 
下絵で写した線の上に糸目糊を筒に入れておいていく
完成時に白い輪郭線になり、色挿しをする際に隣り合う色が混ざらない堰になります
 
 
 
 
・色挿し
 
糸目糊を置いた柄の中に色を塗っていく
 
 
 
 
・伏せ
 
色挿しした柄に、引き染めの色が入らないように伏せ糊を置いていく
はみ出すと地色が入らず、隙間ができると柄に色が入ってしまいますので慎重に置いていきます
 
 
 
 
・引染
 
刷毛を使って染めていく
色に深みを出すために、何度も染める場合もあります
刷毛のムラがいかないようにすばやく染めていきます
濃度や色目が変わったりするので、染め始めると終わるまで中断はできません
 
 
 
 
・蒸し
 
蒸すことで染料を発色及び定着させる
 
 
・水洗
 
糊や余分な染料を洗い落とす
 
 
 
 
・仕上げ
 
金箔を貼ったり刺繍をする